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そのほか
ポーカーの戦略にはGTOをはじめ、確率と統計を重視したものが広く利用されています。しかしどのような戦略を活用するにせよ、誰でも時にミスプレイをするものです。あるいは独自の癖が身につくことで、そこにエクスプロイト(搾取)する隙を与えることになります。ポーカーのエクスプロイトとはどのように行うのか、その特徴を解説します。
ポーカーのエクスプロイト(exploit)は「搾取」という意味があります。ポーカーでは相手のミスにつけ込む、あるいはミスを誘って利益を獲得することを意味します。
ポーカーのGTO戦略はいかなるプレイにも対応し、自分の利益を確保できる「複合戦略」となります。さらに自分のハンドを推測されないよう、時には期待値の計算から外れたプレイをする必要もあります。
この「時には負けることも想定したプレイ」をする必要があるところに、ポーカーのエクスプロイトする隙が生まれます。
「負ける」という表現はもちろん1ゲームごとの勝敗ではなく、長期的に利益を出せないことを意味します。そしてGTO戦略は勝ち負けを繰り返しながらも収益を生む仕組みですが、ミスに対してエクスプロイトされ続けると勝てなくなることがあります。
これが、GTO戦略とポーカーエクスプロイト戦略のどちらが有利なのかという論争が生まれる理由です。
GTO戦略や期待値をベースにしたプレイは、時にポーカー初心者のイレギュラーなプレイに負けることがあります。しかしポーカーのエクスプロイト戦略を意識することで、初心者の癖を掴むことで利益をチップを奪い続けることが可能となります。
このようにポーカーのエクスプロイト戦略はあらゆるプレイに対して柔軟に対応できる利点を持つことがわかります。
たとえば次のシチュエーションで考えてみましょう。あなたのハンドは「Tc9c」でポジションはBB(ビッグブラインド)です。
BTN(ボタン)までフォールドしBTNは3.0bbをベット、SB(スモールブラインド)はフォールドしあなたはコールします。
この時点であなたはBTNがトップペアを含むハンドレンジであると推測しています。
ボードには次のカードが開かれます。
Qc3c7d
この時点でプレイヤーは2人、ポットは6.5bbになっています。あなたはフラッシュドローであり、勝率は次のようになっています。
(参照:Texas Hold'em Poker Odds Calculator)
もし相手がQのペアなら、勝率は次のようになります。
フルハウスの確率も29.05%あります。しかし相手プレイヤーがフラッシュを完成させる確率が3.80%とはいえ、プリフロップでコールしている以上はその可能性を考慮しなければなりません。つまり、ここでとるべきは相手にフォールドさせるだけのベットあるいはレイズをするということです。
対して自分がフラッシュの完成する確率は次のように、34.72%となっています。
ポットオッズはどのようにベットしても3倍になることはありません。あとは相手がどのようなアクションをするのか見てみます。
そこで自分が2.0bbのベットをしたところ、相手は4.0bbのレイズで返してきました。これに対してコールすればポットは14.5bbになり、自分のベット総額は7.0bbとなります。これは次のカードを見にいくコストとしては安いと判断し、コールします。
ターンでは「Ac」が落ちてフラッシュが完成します。相手プレイヤーが「QQ」だとすれば、勝率は次のようになっているはずです。
相手からすれば、フロップでのレイズについてきたことから、フラッシュは十分に警戒すべき状況です。つまり負けた時の傷を大きくしないだけのベットをすべき状況ということです。
ここで自分はチェックします。すると相手はハーフポットの8bbをベットしました。この時点であなたは相手が「QQ」を持っていることを確信します。そこでオールインで返します。相手は少し考えた末にフォールドしました。
相手からすれば余計なコストを支払ったことになります。ミスをしたとすれば、フロップでのレイズ額が少なかったことでしょう。プリフロップでベットしている以上は、相手にポケットペアとなっていることは推測されます。
そしてフロップの時点でセット(スリーカード)が出来ている可能性もあることは相手も考えるはずです。ここで大きくレイズされれば、リスクをとってまでターンを見にいくことはしないでしょう。
このようなミスを利用して利益を確保することが「エクスプロイト」ということになります。
もうひとつ、ポーカーのエクスプロイト対応の事例を説明しましょう。
ポーカーでエクスプロイトするには、ある程度はほかのプレイヤーのクセをチェックする必要があります。そしてもうひとつ、リスクを取る必要もあることを心得ておきましょう。
あるアグレッサーがいることが判明したとしましょう。そのプレイヤーはリンプ(プリフロップでコール)するプレイヤーがいると、必ずレイズすることがわかりました。リンプがあるたびに、毎回レイズしていたのです。
これは明らかにミスプレイだと判断できますが、リンパーはそれに対してコールあるいはフォールドしています。
しかもコールしたプレイヤーはフロップにおいて、CB(コンティニュエーションベット)に対してフォールドしていました。つまりそのプレイヤーにとってはリンパーが格好の獲物だというわけです。
ではこのようなミスプレイに対して、どのようにエクスプロイトすればよいのでしょうか。
次の場面になったとします。UTG(アンダーザガン)が1.0bbをベットしCO(カットオフ)のポジションにいたそのプレイヤーが3.0bbにレイズします。自分はBTN(ボタン)のポジションにいて、ハンドは「Qh7h」だとします。そしてこれまでアグレッシブなプレイをしていなかったとしましょう。
そこで4.0bbをベットします。おそらくそのプレイヤーは自分がナッツ級のハンドを持っていると判断することと予想できます。
SBとBB、そしてUTGはフォールドし、そのプレイヤーは少し時間をおいたあとにフォールドしました。もしコールされフロップでCBを打ってきても、4.0bbベットはまだ対応できる程度のチップです。
つまりプリフロップでのレイズは、ある程度のリスクを許容できる範囲でミスプレイに対応したことになります。仮にそのプレイヤーが強いハンドを持っていたとしても、それに対応するプレイができることはアピールできます。
つまり以降は容易にはブラフを打てないよう、プレッシャーを与えることにもなるということです。
ポーカーでエクスプロイトをするためには、まずは自分自身のプレイを検証してミスを確認することも大切です。
ポーカーのエクスプロイトはほかのプレイヤーのミスを利用する、あるいはミスを誘うことが必要です。となれば当然、何をもってミスプレイと判断するのかがわからなければなりません。
そのためには自分のプレイを見直して、どのようなミスをしているのかを確認する作業が必要です。
それでは実際に、どのようなプレイがミスであるのかをみてみましょう。次のケースを考えてみます。
自分のハンドは「5s8s」でポジションはSB(スモールブラインド)だとします。UTGがリンプしCO手前までフォールド、COと自分はコールします。ここでBBが3.0bbへレイズし、COと自分はコールしたとします。
フロップでは次のカードが開きます。
9s2hTc
3人ともチェックしてターンに進みます。
ターンでは「Qc」が開きます。これでボードは次のようになります。
9s2hTcQc
まだ役は出来ていませんが、リバーで「J」が落ちればストレートが完成します。もちろんその確率は低いものです。しかしここでハーフポットをベットし、2人はコールしたとします。
ベットした理由としては、ほかの2人も役が出来ていないと判断したこと、そのためブラフも兼ねてストレートを狙ったものであるとします。
リバーでは「Jc」が落ちたとします。これでストレートが完成したことになります。しかしここで気づきます。「9 T J Q」であるということは、「K」があれば上位ストレートが完成します。
そしてプリフロップでBBがレイズしたということは、「A」や「K」を持っている可能性があります。もちろんコールでついてきたCOもその可能性はあります。
つまりこの時点で自分は、もっとも弱い立場に立たされたということになるのです。
ストレートが完成しているとはいえ、立場は非常に弱いことがわかりました。そこでやむなくリバーではチェックします。するとBBもチェックし、COがポット額をベットします。
やむなく自分はフォールドし、BBもフォールドしました。COはハンドをオープンしなかったので、結局どんなハンドだったのかは確認できません。
いずれにしてもターンの時点で自分には勝てる要素はなかったことがわかります。つまりターンではチェックをすべきだったのです。
ポーカーでのエクスプロイトを狙うためには、ゲーム中にほかのプレイヤーのアクションを観察することが大事です。そこから、どのような傾向があるのかをチェックしミスを見つけ出すことができるからです。
ハンドの参加率が高いプレイヤーは、明らかに不利なハンドでプレイしている可能性が高いと判断できます。タイトかルースかによっても参加率は異なりますが、プレイ内容と参加率に乖離がみられるようなら、参加しているハンドレンジはかなり広いと判断してよいでしょう。
ハンドはランダムに配られますが、プレミアムハンドなどはそう高い頻度でもらえるわけではありません。とはいえ6人なり9人なりのテーブルでは、誰かしらが手にする可能性はあります。
しかし特定の個人に高い頻度で配られる可能性は低いので、ハンド参加率が高いプレイヤーはエクスプロイトの対象と考えてよいでしょう。
先ほどの事例にもありましたが、プリフロップでのレイズ率が高いとブラフの可能性が高いと判断できます。もちろん本当にプレミアムハンドを持っているケースもあるでしょうが、自分もそれなりに強いハンドを持っていれば、ある程度のリスクをとって勝負してもよいことがわかります。
プリフロップで3ベットをする頻度が高いプレイヤーも同様に、エクスプロイトの対象としてチェックしたほうがよいでしょう。
ポーカーのエクスプロイト戦略は、まずはほかのプレイヤーのプレイを観察することから始めます。そのため、毎回プレイヤーが替わるZOOMゲームには不向きだと言えます。ただしオンラインポーカーサイトによっては、プレイヤーをマーキングできるものもあるので、クセがあれば記録しておくとよいでしょう。基本はGTO戦略をとりながらも、チャンスがあればエクスプロイトするのが理想だと言えます。
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